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もしも会津盆地で大災害が起こったら?〜東北大学減災教育「結」プロジェクト〜


震災を知らない世代が災害に対して当事者意識を持つために

 令和6年6月21日(金)、中学2年生が東北大学減災教育「結(ゆい)」プロジェクト出前講座を受講しました。彼らの多くは平成23年(2011年)、東日本大震災が発生した年に生まれた学年です。

「結」プロジェクトとは?

 このプロジェクトは、東日本大震災の経験と教訓を踏まえ東北大学が行っている防災・減災に関する取組です。震災の経験を風化させず次世代へ語り継いでもらうことや、いざという時の対応力を高めることを目的としており、減災についての知識や理解を深める出前授業を行っています。
 この日は、東北大学災害科学国際研究所 保田真理先生から講話をしていただきました。
 まずは、全員で東日本大震災の被害について確認。宮城県南三陸町の震災前後の写真風景、東日本大震災で発生した津波の到達状況のシミュレーションや通常の波と異なる津波の威力を実験映像、地震の被害が時間とともに変化することを確認しました。
 

これぐらいの水位ならまだ大丈夫〜災害が迫ったときの人間の判断の歪み

 次に、高齢者施設が川の氾濫で大きな人的被害を出した状況を再現した映像を見ながら、どうして被害が出てしまったのかをみんなで考えました。 
身に迫る災害に対して私達はついこんな判断をしてしまいがちです。
  経験したことがない。
  物事を過小評価してしまう。
  判断を自分以外に委ねてしまう。

そんな人間の判断が救えたはずの命を奪ってしまうという結果をもたらしてしまうのです。

まだ大丈夫・・・ほんの数時間の判断の過ちで多くの命が奪われることも。

それでは、災害を自分事として考えるためのトレーニングが始まりました。課題は・・・

6月のある穏やかな日曜日の午後、会津盆地を震源地としてマグニチュード7.8、最大震度6強の地震が発生したら・・・

 こんな状況で私達はどんな行動を取るべきか?生徒たちは「アワタラ」というプログラムでシミュレーションしました。
 「アワタラ(Our Time Line)」とは、自分たちが「いつ」、「何をするか」に着目した防災行動とその実施主体を、時系列で整理して作成するものです。ここからは教室に戻ってグループ活動。話し合いをしながら時間を追うごとに変化する災害のフェーズで、自分・家族・地域の立場から行動すべきことを考えました。

話し合いで出された意見はスプレッドシートに入力し共有します。

縦軸が時間の経過と周囲の状況変化を、横軸が自分・家族・近所の人々・市職員というクラスの中の人間関係になっています。指定された時間のそれぞれの行動を考えるとともに、その時、自分や周囲の人々はどのような行動をするかも考えます。

記述が進むと進行状況の画面に少しずつ花が咲き始めます!


講師の保田先生は一つの教室で他の2つの教室に指示を出してくれます。

最後は大階段に学年全員が集合し、各クラスの代表が話し合いの結果を共有しました。
 「神に祈る」、「震災は身近だと感じた」、「避難所はどこかを確認したい」など、様々な意見や感想が出されました。

さて、講師の保田先生から生徒たちに素敵なプレゼントが送られました。それは、

「防災ハンカチ」

 これは、「持ち歩く減災意識」をコンセプトに開発され、家庭で今回学んだことを振り返りながら家族とのコミュニケーションを図りながら減災意識を育むために作られたものだそうです。大きくてかわいいイラスト入りのハンカチには、減災のために私達が取るべき行動がまとめられています。大災害が発生した時に役立ちそうです。
 この日の夜、中学2年生の家庭では減災について話が弾んだことでしょう。

広げるとかなり大きい目の減災ハンカチ。減災の知識だけでなく、このハンカチを災害時にいろいろな用途で使うこともできそうです。