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【校長室より】自分の中に問いを立てて考える重要性

 本校に、5月27日から3週間、5名の教育実習生がやってきました。全員が本校の卒業生。教師になりたいという志を強く持って、時にエネルギッシュに、時に優しく生徒たちに接してくれました。
 私も1週目に、実習担当の先生から講話をお願いされました。「学びの変革って言われているんだから、型通りの研究授業はもちろんやらないといけないけれど、皆さんの柔軟な発想で冒険したっていいんじゃない?」と実習生に声をかけました。
 さて、3週目の後半、一人の実習生が「大学で哲学対話を勉強していたので授業でやってみようと思ってます。」とのこと。若さあふれる実習生と会津学鳳生でどんな授業が展開されるのだろう、と早速2年生の教室をのぞいてみました。

今までにやったことのない授業に、生徒はソワソワしている感じです。

 すでに教室には2つの大きなグループができあがっていました。
 次に、今回の授業で話し合うテーマを決めます。実習生からは

「話し合うテーマは自分たちで考えて自分たちで選ぶんだよ」

との指示が。「ええ!?自分で考えるの?」という戸惑いに包まれました。そうですよね。普通は先生の質問に答えるのが授業なんだから。それでも生徒たちはいろいろと質問を考えました。それが以下のとおりです。

「なぜ働くのか」「なぜ学ぶのか」「内職はよいか」「親は大切にしなければならいのか」「金と愛とどちらが大切か」5つともなかなか難しい問いです。

5つの質問の中から多数決で決めたのは、「親は大切にしなければならいのか」

 これは難しい。世界中の親子関係の数だけ答えがありそうです。2つの大きなグループではルールに則って話し合いが進められていきました。意見を発表する人の手には、プリントでできた即席のバトンが。このバトンが意見を繋いでいきました。

 どちらのグループも最初はぎこちなさそうでしたが、次第に活発に対話を繰り広げていました。後で実習生に聞いたところ、生徒たちは対話の時間がもっと欲しかったようです。そういえば、かつてこんな本を読んだことがあります。
 『たった一つを変えるだけ:クラスも教師も自立する「質問づくり」』
 (ダン・ロススタイン、ルース・サンタナ著、新評論)

 この本の袋帯には「多くを問う者は、多くを学び、多くを保持する」と書かれています。自ら問いを立て考える姿勢を作っていく授業がとても新鮮でした。 
 5名の実習生の皆さん、3週間本当にお疲れさまでした。